声が良すぎてあかん

シチュCDの感想をあげます。

雨の痕外伝4 僕がキミのすべて 伊勢貴成 猿飛総司 感想

※ストーリーが重要なシチュ作品のため、前半はネタバレ無しの感想、後半ではネタバレ全開の感想を述べていきます。そのため、未視聴の方には後半でのブラウザバックを推奨します~!

 

 

 

 

 

 

 

 

あらすじは書こうとすると確実にネタバレに繋がってしまうので今回は省略します。

まだ読んでいない方はぜひ公式サイトに載っているあらすじを読んでください↓

snowdropscd.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『雨の痕外伝4』何を書いてもネタバレになってしまいそうな綿密で丁寧なシナリオと、猿飛さんの恐ろしいお芝居が混ざり合い、それはそれは大変良いシチュエーションCDになっていました。

そして、今までこの『雨の痕外伝4 僕がキミのすべて』という作品を侮っていた自分が恥ずかしく、本当に申し訳ない気持ちになりました(激重) 。

 

この作品は新作として発表された時から本当に楽しみにしていて、試聴やキャストコメント等新しい情報が公開されるたびに、

 

…こんな感じで浮かれ気味に反応しては期待を募らせていました。

そして来たる2021年12月24日のクリスマスイブに発売を迎え本編を聴いたわけですが…

大きな声で「気持ち悪い!!」という感想を放ってやろうと意気揚々としていた私の軽薄な気持ちは、猿飛さんがキャストコメントで仰っていた『鬱屈とした気持ち』に打ち砕かれてしまったのです。たすけて…;;

 

さて、ここからは本題のレビューになりますが、冒頭で書いた通りなにを語ってもネタバレになってしまいそうなので、前半ではこの作品の色々な質感についてなるべくネタバレにならない程度に書かせていただきたいと思います。

 

まず、ヤンデレ作品がゆえに『怖い』『痛い』な情景が描かれています。

猿飛総司さん演じる伊勢貴成は、基本的にはテンションが低い落ち着いたキャラクターではあるのですが、その落ち着きが作用して様々な不安定さを露わにしています。

といっても他のヤンデレ作品と比べればそこまで過激ではなく割とニュートラルな表現が多いかなという印象ですが、不快に思われる方やトラウマがフラッシュバックしてしまうという方は少なからずいると思うので、心配な方は自衛としてネタバレにあたる情報を取り入れておくことも必要になると思います。

 

 

 

次にストーリーについてですが、様々な伏線が張り巡らされたとても面白い物語になっているので未視聴の方はぜひ事前情報ゼロで聴き、驚かされて欲しいです。

私も公式サイトやシナリオライターさんが公開してくれている情報だけで色々と予想していましたが、その予想の範疇を越えたところで驚かされました。まさかそういう展開だとは思わなかった;;切ない……つらい………

もちろん聴いている最中に(今のどういう意味だろう…?多分伏線だな)と思う箇所はあり、その都度先の展開をある程度予想してはいましたがそれも裏切られてしまい鳥肌が立ちました。

ネタバレが出来ない状態では何を語ることも許されませんが本当に素晴らしいシナリオだったのでぜひその素晴らしさを堪能してください。

 

 

そして、猿飛総司さん作品の感想を書く度に毎度言っている気がしますが、ここで伝えたいのは猿飛さんの演技力の凄さです。

前述したとおりこの作品は伏線が張り巡らされた作りになっているので、全編聴いた後にもう一度聴くと所感が変わります。

そういったことは数ある創作物でよくあることと思いますが、意味深な言い回しやシナリオの流れだけではなく、これって伏線だったのか!と”猿飛さんのお芝居”にハッとさせられる場面が多々あります。

”1周目では気付けないが2周目以降ではどことなく違和感を感じる”という、聴き手の感情に寄り添い変化する絶妙なお芝居をされていることに気付き、猿飛さんのお芝居の良さを再確認したのと、演劇の素晴らしさに感動しました。エロCDなのに…

演者さんのお芝居と聴き手の想像で変化し、完成される物語、良いじゃん……

 

 

そしてリップ音についてですが、今回もめ~~ちゃ良いです。相変わらず水分量が心地良いし、喘ぎ声も良いです。されてるのも聴ける。

キスイキのスペシャリストだからキスイキもあった。キスイキのスペシャリストだから。

ステラ特典ではあるものを口に含む描写があるのですが、実際に口の中に何かを入れてるみたいな音が鳴っているので実際どうだったか知りたい。

試聴を聴いたとき大体の人は「気持ち悪い」という言葉が頭に浮かんだと思いますが、リップ音もいつもの音に気持ち悪さが乗っているような気がします。

言葉で説明するのは難しいけど、不快になるような音に近づけてると思う。

それが特に目立っていたと思うところは「だからきっと上手に出来るよ」発言の直後、試聴ではちょうど聴けないんですが、無理矢理されている場面での耳舐めのリップ音がいつもより吸いが強くてぶるんぶるん鳴ってます🏍️

そのほかの場面でもいつもより吸ってて必死さが伝わるし、好きでもない人に舐めまわされている不快感がちゃんと伝わってくるようなリップ音でした。スゲ~

”舐める”という表現より”舐る(ねぶる)”とかそういう表現の方がニュアンス的に正しいかもしれません。こちらの状態など意に介さず貪り食っている感じ。

あと、試聴でも分かる通り唇と舌がヒロインの肌からなかなか離れないうえにめちゃ喋るのでそれも不快感を与えていると思います。想像したら結構気持ち悪いから!結構!

私は猿飛さんの舌を感じられるリップ音を評価しているので好きでした。舌飛舌司やからね。

 

 

 

 

以上、ネタバレ無しでお伝え出来ることは一旦書けた気がするので、ここから先はセリフや内容のネタバレを気にせずに思ったことを書いていこうと思います。

既に視聴した方が読んでくれているという前提と、文章量があまりにも多くなるという点を考慮して細かいレビューは除きます。

文章のまとまりが無いかもしれません。

自己解釈がほとんどですので、解釈違いで不快な思いをさせてしまったら申し訳ありません。

 

 

 

___⚠️ここからネタバレあり⚠️___

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伊勢貴成………

怖い気持ち悪いヤバい奴なのに、どうしても幸せになって欲しい………

 

これから述べることは完全に私の解釈であり、そしてかなり歪んだものであることをご了承ください。書いてて悲しくなるくらい猜疑心が強いなと思ったので……

 

まず結論から言うと、2人が迎えた結末は完全に『共依存』だと思います。

最終的には愛し合っているかのような場面が描かれていますが、その実情としてはただの共依存でしかなく、伊勢貴成にとって一番縁遠く一番必要だったものである本当の愛情というのは結局手に入れられていない。

なぜなら、ヒロインが伊勢貴成に向けている感情は、彼の寂しい境遇への””同情””と、共犯者にさせてしまったことへの””罪悪感””でしかないと思うからです。

自分を監禁し犯した狂人だと思っていた伊勢貴成は、人から愛情を受けられずに育ったとても悲しい過去があり愛情に飢えている孤独な人なんだと知り、可哀想だと同情の気持ちが芽生えます。

それに続き、自分が犯した殺人を伊勢貴成に隠ぺいさせてしまい、なんの関係もなかった彼のことを自分が共犯者にしてしまったんだ、という罪悪感に駆られます。

今までの彼の行動を全部拒絶していたけれど、それは私を守るためだったんだという申し訳なさもまた彼女を襲います。

 

 

一方の伊勢貴成ですが、中庭で雨に打たれながら語っている通り、ヒロインのことが好きという感情は本物なんだと思います。

彼の寂しい人生の中で唯一優しく微笑んでくれたヒロインに恋をしたことは事実。

ですが、今までの彼の人生の中に無かった存在だからこそ、今さらどう扱ったら良いのか分からない、でも好きだから彼女を自分だけのものにしたい。

彼女なら、自分に愛情を向けてくれるかもしれない。

その感情は””執着””です。

死んでしまったもう一人のストーカーが彼の執着心を加速させ、どんどんエスカレートしていく彼女への執着心は次第に””支配欲””へと変わっていったんだと思います。

なぜなら、彼女を監禁してしまった彼の行動は支配そのものだからです。

強い執着心のなれの果てで、物理的にも精神的にも彼女を自分だけのものにしようとした、彼の哀しい不器用さでもあったと思います。

 

 

この流れ、彼女は何一つ悪いことはしていません。

ストーカーの男を殺してしまったのも真っ当な正当防衛です。

死体遺棄や監禁等、伊勢貴成がヒロインへの執着心に溺れて勝手にやったことに、彼女は勝手に同情して勝手に罪悪感を感じて、勝手に申し訳なくなっているだけです。

真実を思い出し自首をすると言った彼女に伊勢貴成が放った言葉は、「”君”が捕まってしまう」という彼女を思う言葉ではなく「”僕”たちが離れ離れになってしまう」という言葉でした。

乱暴に扱った後に優しく謝る流れが本編中に何回もありますが、その流れは完全にDVのハネムーン期に当たります。

監禁生活の中で、ヒロインは完全に伊勢貴成の手中に落ち、支配関係が構築されていったのです。

 

 

伊勢貴成は愛情を向けてくれる彼女に完全に依存していますが、彼女もまた、そんな彼に同情して愛を与えているということに価値を見出し、お互いに依存している「共依存」の関係にあると言えます。

 

 

 

ここで特典の内容に触れますが、ステラワースはエロ特化型(エロ特化型って何?)で比較的聴きやすいのですが、アニメイトに関しては2人の主従関係みたいなものがより明確になっているような気がして辛くなっちゃいました。

でも、今までの猿飛総司さん演じるキャラクター達はフェしてもらうことをためらってたりお掃除キスしてくれたり頭なでてくれたりで優しかったけど、メイト特典の伊勢貴成は舐めさせてきて飲み込めって言ってきて挙句の果てに味も聞いてくるので新鮮だった。

 

 

 

ここまで伊勢貴成めっちゃあくどい計算高い奴やんみたいな書き方をしてしまいましたが、伊勢貴成の嫌なところの真骨頂は、これらの流れを””計算でやっていない””というところにあると思います。たちが悪い。

流れはまるで計算していたかのようにハマっていますが、全て彼の純粋な欲でしかなく、今まで愛されてこなかった人生で、人と、しかも好きな女の子に対してどう接したら良いのか分からないという不器用さが、この流れを作ったんだと思います。

好きな女の子に触れたいけどどうしたら良いのか分からないから練習したり、喜んで欲しいからとっておきのシャンプーとお洋服を用意したり、手料理を食べたいし、抱きしめてもらいたいし、笑ってくれたら嬉しいし、普通の恋人みたいな日常を送ってみたい。

乱暴してしまうのは彼女を失うかもしれない心が離れてしまうかもしれないという孤独な不安からで、そのあと優しくするのは純粋に彼女を大切に思っているからで。

決して世の中のストーカーやDV男を正当化しているわけではありません。

そこは断固として許せないと思っているので、今回に限り伊勢貴成の生い立ちを知ったうえでの考えですが、伊勢貴成の行動は病的で気持ちは悪いけど不器用だから上手くできなかっただけだと思います。

 

そう考えたらもう伊勢貴成には幸せになってもらいたくてたまらなくなる。

 

悲劇を迎えた2人には幸せになってもらいたい、お誕生日をお祝いして、手料理を振舞って、看病してあげて…それが例え健全な愛情ではないとしても、2人が幸せで満たされる時間が存在していたら良いな。

 

でも、いくらスマホやPCの無い時代だったとしても、勉強熱心で友達もいてアルバイトも楽しんでいた女の子がある日突然ぱったり見かけなくなって連絡も取れなくなれば怪しむ人は出てくるだろうし、殺しちゃった男もきっと誰かの存在ではあるはずで、2人の時間というのに終止符が打たれるのももしかしたら時間の問題かもしれません。

 

 

 

 

 

不安や諦め、執着、愉悦…様々な感情の乗ったセリフになったと思います。

 

という猿飛総司さんのコメントを少し引用させてもらいますが、伊勢貴成から感じた不安定さはただ感情の上下がコントロール出来ていない様子からだけではなく、彼女が事件のことを思い出してしまったらどうしよう逃げられたらどうしよう…という”不安”と、このまま愛しの彼女と2人きりで過ごせるんだ身体を重ねているんだ…という”愉悦”と、結局こんなことをしたところで彼女から本当の愛情を受け取ることは出来ないんだ…という”諦め”、そんな様々な感情が彼の中で渦巻いていたからだったのかもしれないなと思いました。

 

 

 

かなり長くなってしまったのでここでそろそろ終わりにしたいと思います。

彼らの幸せを願う同情で溢れた私のこの感想もまた、ヒロインと同じく、伊勢貴成の純粋な狂気に支配されているのかもしれません。

そんな風に心をぐちゃぐちゃにかき乱される良い作品でした。

またこんな作品に出会えたら良いな~!

 

それでは長文乱文失礼いたしました。

ここまで読んでくれた方、私の感想に興味を持ってくれた方、本当にありがとうございました!!!!!!!

 

snowdropscd.com

 

キャストコールは許さない~~!!!!